古文書「ヴォイニッチ手稿」の文字を表示するために制作した 6 種類のオリジナルフォント、および、それらを用いて制作したアート作品。
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説明
本作品は、未解明の古文書「ヴォイニッチ手稿」の一部を、現代版の書物として作り直したものである。 「ヴォイニッチ手稿」は未知の文字で書かれた手書きの文書で、多くのページでは、植物の絵と文章がセットになっている。 2013〜2014 年の研究により、文書に描かれている植物の一部が特定され、また、使われている言語の文法が、消滅した古典ナワトル語に近いことがわかった。 すなわち、この文書は、消滅した言語で書かれた学術書だったのかもしれない。
もし、この言語が現代まで生き残っていたとしたら、手書きの文字はいずれ活字となり、様々な印刷用の書体がつくられたはずである。 この思いつきから私は、この言語のために新しいフォントをつくった。 そして古文書の一部をこのフォントで書き起こし、特定された植物の写真とともにまとめた。 これらは今となっては読めない。しかし、そこには文化や知恵が存在している。
現在、約 3000 の言語が、消滅の危機に瀕している。言語とともに文化や知恵が失われてしまうことは、我々にとって大きな損害である。 この作品を眺めることで、これらの重要性を身近に感じられるかもしれない。